高画素カメラヘッダー

最近の一眼カメラは高画素化が進んでいます。例えば先日発売発表された、キャノンの EOS R5 は有効画素数約4500万画素だし、SONYの a7R IV は有効画素数約6100万画素を達成しているのだから驚きです。しかし、疑問に思いませんか?なぜこんなにカメラの高画素化が進んでいるのかって。

今日は、カメラが高画素化する理由と高画素機のメリット・デメリットについて紹介したいと思います!

本題に入る前にこれだけは先に言っておきたいと思います。[高画素=高画質] この認識は大きな勘違いです!

▼ この記事で分かる事
  • 高画素機によるメリット・デメリット
  • 高画素機を必要な人と必要じゃない人

目次

高画素機を知る上で大切な事

高画素機を知る上で画素数に対して理解する必要があります。本題に入る前に少し解説しますね。

画素数とは?

ちなみに皆さん 画素数 に関して正しい知識はお持ちですか?「画素数って言葉は頻繁に聞くけど実際に説明しろ」って言われたら答えられないなんて事ありませんよね。

まさかそんな人はいないとは思いますが、一応画素数について簡単に説明したいと思います。

画素数とは簡単に説明すると、撮像素子(イメージセンサー)に配置された画素の数を言います。ピクセル数とも言いますよね。例えば、先日発売が発表されたキャノンの EOS R5 の画素数は約4500万画素なので EOS R5 の撮像素子(イメージセンサー)には4500万個の小さな点が敷き詰められていると言う考えになります。SONYのa7R IV に関しては、撮像素子に6100万個の小さな点(ピクセル)が並んでいる事になりますね。

過去に画素数に関した記事を書いていますので気になった方は読んでみてください。

画素数と解像度の違い。一眼レフに於ける画素数とは?

高画素一眼カメラとは?

高画素機

そもそも高画素カメラとは画素数4000万画素以上のカメラの事を言います(定義はありません)。少し前に2000万画素前後くらいで頭打ち感があったのですが、一昨年くらいから3000万画素台や4000万画素台の一眼カメラが各メーカーから発売されてきました。じゃあ、高画素の方がいいよね?って印象もある人は多いかと思いますが一概にそういう感じでもないんです。高画素機のメリットやデメリットをしっかり把握しておかないと、高画素機って言葉につられて購入すると後悔するかもしれません。

では、高画素機のメリットやデメリットを紹介していきます。このメリットやデメリットを理解する事で自分にとって高画素機は必要なのか必要じゃないのかが見えてきます。

高画素機のメリット

高画素機のメリット

高画素機のメリットに関して解説したいと思います。

圧倒的な解像力

画素数は先程紹介した通りになります。高画素機は搭載されている撮像素子(イメージセンサー)に多くの画素(ピクセル数)が詰め込まれているので非常に精細で解像度の高い描写が可能です。

例えば、1 × 1 の正方形の撮像素子に画素が10個の物と(10画素)、1 × 1 の正方形の撮像素子に画素が100個の物(100画素)では解像する能力が違いますよね。分かりやすく例えてみましたが、これと同じ事が2000万画素と4000万画素でも同じ撮像素子でも起こるという事です。

当然ながら画素は多い方が解像力は優れています。ですが、それが画質には直結しないので注意してくださいね。

トリミング耐性

高画素機の一番のメリットはその圧倒的なトリミング耐性にあります。トリミングとは、写真加工・編集の1つで、撮影後に写真の一部だけを切り出す加工の事を言います。

フルサイズ機にはクロップ撮影機能と言う非常に便利な機能があります。このクロップ撮影機能は、APS-Cサイズの画角に撮影範囲をトリミングする機能なので、焦点距離が35mm換算で200mmのレンズを使用した際にクロップ撮影機能を使用すると約300mm相当の望遠撮影ができるようになります。

ただし、クロップ撮影はトリミングなので画素数が落ちます。2400万画素のカメラならAPS-Cへのクロップで約1000万画素程度まで落ちてしまいます。「じゃあ、クロップ撮影しない方がいいのか」って思う方もいるでしょうが、思い出してください。これは2400万画素のカメラでのお話です。

ではSONYの a7R IV で考えてみましょう。SONYの a7R IV は有効画素数が6100万画素なので、クロップ撮影をしても画素数は低下しますが分母が大きいので2620万画素を確保する事が可能になります。

言い換えれば、高画素のフルサイズ機を一台所有する事は、同時にAPS-C機も所有する事と同時の価値があるということになります。この辺の恩恵は大きいですね。

高精細な動画撮影

どういう事かと言うと、高画素であればあるほど高精細な動画が撮影できます。解像度が優れているという理由に直結するんですが、4K動画なら約800万画素もあれば十分なのですが、キャノンの EOS R5 に関しては8K動画が撮影可能です。「おいおい。4Kがまだ浸透仕切っていないのに8K動画なんてどこに需要があるんだよ」って聞こえてきそうですが、8K動画撮影になると約3200万画素が必要になります。

大判の印刷に有利

解像度にも関係しますが、A4サイズの印刷なら2400万画素もあれば十分です。それ以上の大判サイズを綺麗に印刷したいと思ったら高画素機が必要になってきます。正直、2400万画素あればA1サイズの印刷も可能ですが、単純に印刷サイズが大きくなると言うことは、印刷サイズに必要な画素(ピクセル数)も増えるので高画素機が圧倒的に有利になります。

では、まとめます。

高画素機のメリット
  • 圧倒的な解像力=キメ細かい描写が可能
  • トリミング耐性=トリミングやクロップ撮影機能時に画像劣化が少ない
  • 動画撮影=高画素機は将来的に8K などの動画撮影が標準になる
  • プリントアウト=大判サイズの印刷に強い

高画素機のデメリット

高画素機のデメリット

では、続いて高画素機のデメリットについて解説したいと思います。

撮影に知識と技術が必要

解像力の高い高画素機ですが、ブレを拾いやすいというデメリットがあります。詳しく解説すると話が長くなるので割愛しますが気になる方は調べてみてもいいかもしれません。簡単に言ってしまえば、画素ピッチが狭くなる事でブレを拾いやすくなってしまいます。

なので高画素機はブレに対して非常にシビアな撮影を求められます。なので三脚を使用して一枚一枚ピントを追い込んで撮影するようなスタイルになります。

ただし、最近では手ブレ補正などの進化により高画素機でも気兼ねなく手持ちでフットワークの軽い撮影が可能になりました。この点は、高画素機を活かす為に非常に考えられて作られていますよね。確かに高画素機はブレを拾いやすいですが、この点に関しては技術の進歩によって、もうデメリットとは言えなくなっているかもしれませんね。

高感度耐性が弱い

高画素機は好感度撮影に弱いです。具体的にはノイズが出やすいといった特徴があります。高画素機は1画素あたりの面積が小さくなるので画素1つの受光量が減ります。受光量が減るという事は、ISO感度を上げないとSS(シャッター速度)を稼げないので必然と高感度撮影になってしまいます。

例えば、2400万画素のカメラで ISO100・F14 で撮影した時に、SSは1/100秒になったとします、これを4000万画素のカメラで同条件で撮影した時、SSは1/100秒よりも遅くなってしまいます。SS(シャッター速度)が遅くなる分ノイズは多くなってしまいます。

高性能レンズが必要

高画素機の描写力は折り紙付きですが、それはあくまでカメラだけの話であってその特性を活かすにはそれに釣り合うだけの高性能なレンズが必要になります。

ここからは、言わずもがなですが高性能なレンズ程非常に高価なものとなります。二桁万円はくだらないです。そこまで高価だと趣味で行う人にとっては考えものですよね。

画像データが大きい

画素数が多いという事は、記録しなければいけない画素データが多くなるので必然的に一枚の画像データが大きくなります。

約2400万画素の1画像あたりのRAWデータサイズは約30MBですが、これが5000万画素機になると1画像あたりのRAWデータサイズは約70MBにもなります。ここで問題になるのがデータ処理ですよね。そうなってくるとカメラ側やレンズの問題以外にPCのスペックも問題になってきます。

あまり低スペックなPCだとデータ転送にも時間が掛かりますし、ハードディスクの容量がすぐにいっぱいになってしまうという問題も出てきます。またPCのハードディスクだけでなく、SDカードの容量もすぐにいっぱいになってしまうので、容量の大きなSDカードに変更する必要があります。

では、まとめますね。

高画素機のデメリット
  • 撮影に知識と技術が必要=最近では手ブレ補正が搭載されているので安心
  • 高感度耐性が弱い=2000万画素くらいのカメラと比べるとノイズが入りやすい
  • 高性能レンズが必要=レンズが高価なのでお金がかかる
  • 画像データが大きい=データ処理に時間がかかる&PCやSDカードの容量がすぐいっぱいになる

高画素機が必要な人と必要じゃない人

必要or必要じゃない

では高画素機が必要な人と必要ではない人の差はどこにあるのでしょうか?カメラ大好きサラリーマンの僕が解説したいと思います。

高画素機が必要な人

仕事や作品撮りをする人は高画素機を使用する方がいいかもしれません。その理由として、

  • 大判の印刷が出来るので、個展用のA1サイズのプリントアウトでも綺麗な印刷が可能
  • 明確に高画素が必要な撮影目的ある人(プロカメラマンやハイアマチュアカメラマンなど)

上記理由で高画素機を使用する人は、個展の為の作品撮りをしたり写真でお金を稼ぐ人達がほとんどです。つまり高画素機を使用する頻度が必然的に高い人達の事を言います。

ただ、中には「高画素機じゃなくても十分、もっと大切な機能がある」と言う人もいるのでなんとも言えませんね。

高画素機が必要じゃない人

4500万画素や6100万画素みたいな高画素機が必要か必要でないのかってところは非常に重要なポイントになりますが、結論から言うと、僕みたいな完全に趣味の範疇(はんちゅう)で行う人には必要のない画素数です。過去にも記事内で、「高画素機はそこまで必要な物ではない」とお伝えしてきました。その理由としては、日常生活に於いては2000万画素もあれば十分だからです。

カメラ初心者

向かないと言うと語弊があるかもしれませんが、初心者には必要がないと言ったほうが正しいかもしれません。まず高画素機はお金がかかります。データサイズが大きい為SDカードの容量は大きい物を選ばないとすぐにいっぱいになってしまいます。高画素を活かす為には高性能なレンズが必要になりますが、このレンズは馬鹿高いです。

あとは、技術や知識も少しなりとも必要になってきます。いい機材を使用していても機能が訳わからないまま使用するのはカメラの性能を活かしきれません。まぁ、これは高画素機以外にも言えますけどね。

過去に「高画素機カメラが初心者に向かない理由」という記事を上げたことがあるので読んでいただけたら幸いです。

高画素機カメラが初心者に向かない理由。

大判の印刷をしない方

解像度との関係にもよりますが、普段皆さんが良く目にするA4サイズなんかは2000万画素もあれば十分綺麗だと思える印刷が出来ます。ちなみに主要の印刷サイズの必要画素数は以下の表です。

印刷サイズ(mm) 主な用途 画像解像度(dpi) 画像サイズ(px) 必要画素数
B1 728×1030 ポスター 200 約5732×8110 約4700万画素
A1 594×841 ポスター 200 約4677×6622 約3100万画素
A4 210×297 チラシ、パンフレット 350 約2893×4092 約1200万画素
A5 148×210 チラシ、フライヤー 350 約2039×2893 約600万画素
148×100 ポストカード、ハガキ 350 約2039×1378

各印刷に必要な画素数は表の一番右になります。これだけ見ても、高画素機が必要とは思えないですよね。A1サイズが一般的なポスターのサイズくらいです。そもそも日常生活の中でA1サイズの印刷をする事がどれくらいあるのか?って話になってくるんですよね。

少なくとも僕が生きてきた中では日常生活の中でA4サイズ以上に印刷をした事はありません。

高画素一眼カメラのメリット・デメリットまとめ

高画素機と聞くと「じゃあ綺麗な画質の写真が撮れるんだ」って思いがちですが、高画素だからと言って綺麗な画質の写真が撮影できる訳ではありません。この辺は勘違いしている人が非常に多いです。

また、紹介した通り高画素機にもメリット・デメリットは当然あるのでその辺はしっかりと精査した方がいいと思います。高い買い物をする中で買ってから後悔しない為にもしっかりと調べた上で購入しましょうね!