ノイズ低減機能
登場人物A

長時間露光撮影した事はある?

登場人物B

あの、シャッター速度を長くして撮影する手法よね?一眼カメラならではの表現ができて良くやるわ。

登場人物A

って事は、長時間露光撮影時に書き込み速度が遅くなる現象も経験した事あるかな?

登場人物B

それってあれよね?ノイズ低減機能が関係しているのよね?

登場人物A

そのとおり!今日はノイズ低減機能について解説していこうと思うよ!

カメラを趣味としてある程度の月日が経っている方や、カメラが好きな人なんかはタイトルを見れば「そんな事記事にするのか」って思う方も多いかもしれませんが、カメラを始めた時の事を思い出してみてください。

カメラ初心者の頃、誰もが一度は二度悩まされた経験があるハズですよね。

まずカメラの魅力の一つに長時間露光撮影という撮影手法があります。

この撮影手法はシャッター速度を遅くして水などの動きのある物を柔らかく表現したり、光の光跡を表現したりと日常では表現出来ない表現を写真で表現する事が出来ます。

なのでカメラを始めた頃はそんな表現が出来る事に喜びを感じて、長時間露光撮影ばかりしていた記憶があります。ですが、当時は知識もなかったので長時間露光するたびに画面に文字が出てしばらくカメラがうんともすんとも言わない現象に悩まされました。

同じ悩みに直面しているカメラ初心者の方は多いのではないでしょうか?

そこで本日は、長時間露光撮影の書き込みが遅い理由 を紹介したいと思います!

▼この記事で分かる事
  • 長時間露光撮影後の書き込み速度が遅い理由
  • ノイズ低減機能とノイズについて
  • ノイズ低減機能のメリット・デメリット
  • ノイズ低減機能を使用しなくてもいい理由

目次

長時間露光撮影後の書き込みが遅い理由

カメラ

長時間露光撮影後、カメラがうんともすんとも言わなくなってしまったなんて事ありませんか?この原因ですが、実は物凄く単純な事なんです。

その原因とは、ノイズ低減機能 がONになっているからです!(キャノンだと長秒時露光ノイズ低減機能って言ったかな?)

このノイズ低減機能は、その文字のままノイズを低減する為の処理をカメラ側で行ってくれる機能の事を言います。

この説明だけ聞くと凄く便利な感じもしますが、実はこの機能にはノイズを低減してくれるメリットとは別にデメリットの方が撮影をするにあたり顕著に現れてしまいます。

では、ノイズ低減機能についてとそのメリットとデメリットってなんなのかを解説してみたいと思います。

ノイズ低減機能とノイズについて

このノイズ低減機能は先程説明したとおり、撮影した写真のノイズをカメラ側である程度処理してくれる機能の事を言います。

では、ノイズ低減機能がどのようにノイズを処理しているのかご存知ですか?

ノイズ低減機能の仕組みを理解するには ノイズ というものをある程度理解する必要があると僕は考えます。なので少しノイズについて勉強してみましょう。え?嫌だって?そんな事言わずに読んでやってください。どうせ暇でしょ?(←おい)

ノイズについて

まずノイズって何よって話しですよね?皆さんが良く聞く一般的なノイズはイヤホンやヘッドホンで聞くノイズキャンセリング機能だと思います。

少し難しい言葉で説明すると、ノイズ=処理対象となる情報以外の不要な情報のこと を言います。つまり上記のイヤホンやヘッドホンのノイズキャンセリングは、処理対象(音)以外の音の事を指し、それをキャンセルするのでノイズを除去する機能を指します。

写真で言う所のノイズは結構意味合いがはっきりしています。写真を撮影した時に特に黒い部分がザラザラしていたりしませんか?

そのザラザラに写っているものがノイズになります。おそらく下の写真をご覧になれば一目瞭然かと思います。

ノイズ紹介
なんかザラザラしていますよね。

で、ノイズって実は2種類あるんです。

種類

では、ノイズの種類について解説していきます。一般的なのは好感度ノイズと長秒時ノイズ(カラーノイズ)になります。

具体的に見ていきましょう。

高感度ノイズ

まず高感度ノイズと呼ばれるやつ。

これはそのまんまですが、高感度撮影時に出るノイズを高感度ノイズと呼びます。ISO感度を上げるという事は、デジタル処理で電気信号を増幅させるのでISO感度を上げれば上げるほどノイズの量も増えていきます。

別名 ランダムノイズ とも呼ばれ、全く同じ状況で撮影しても毎回違う場所にノイズが出現します。

下の写真を見てもらえば分かる通り、ノイズ量は全く違いますね。良く「ISO感度を上げすぎるのは良くない」と言われるのはこの高感度ノイズの影響があるからです。ノイズは単純に画質を劣化させますからね。

長秒時ノイズ(カラーノイズ)

次に長秒時ノイズの説明です。今回の長時間露光撮影に大きく関わるノイズです。

長時間の露光撮影の際には良く現れるノイズですね。特徴としては高感度ノイズとは違い、長秒時ノイズは赤・青・黄・緑・白などの色が付いている事です。また、高感度ノイズ(ランダムノイズ)とは違い、全く同じ状況下で撮影すると同じところに出現する為、こちらは 固定ノイズ とも呼ばれています。

長秒時ノイズが発生する原因は、シャッター速度が15秒以上になると、センサー温度が上昇し電気信号に不具合が発生する事が原因です。秒数はカメラの機種によって違うのでなんとも言えませんが星景写真などでは良く発生するノイズですね。

ちなみにシャッター速度が長ければ長いほどセンサーの温度は上昇するのでノイズは発生しやすくなります。加えて、夏場なんかは外気温も高いのでよりノイズが発生しやすくなります。

夏に美ヶ原で星景写真を撮影した時にカラーノイズが発生していました。画面中央部に赤い点がありますよね。これがカラーノイズです。

カラーノイズ

さてノイズについて少し学んだところで次にカメラのノイズ低減処理機能について触れていきましょう。

ノイズ低減機能の仕組み

登場人物A

ノイズについて少しは理解できたかな?ノイズは作品としての質を劣化させるものだから撮影時に可能な限り対処して、写真編集時にノイズ処理してあげるべきだね。

登場人物B

なるほど。でもノイズ低減処理の機能ってどんな仕組みなのかしら?カメラ側である程度のノイズ処理してくれるなんて有り難いわね。

登場人物A

そうだね。非常に便利な機能だよね。じゃあ、ノイズ低減機能の仕組みについて解説していくね。

ではノイズ低減機能がどのような仕組みになっているか解説したいと思います。

僕が使用しているカメラがキャノンなのでキャノン機での説明になってしまいますが、その点は考慮してくださいね。

まずノイズ低減機能をONにした状態で普通に1枚撮影。これはいつものとなんら変わりないですよね。

ただ、ノイズ低減機能がONになっていると、撮影後の画面に「BUSY」の文字が出るかと思います。(Canon 6Dの場合)このBUSYの間に何を行っているかと言うと、実はカメラがもう1枚写真を撮影しているんです。

具体的に言うと普通に撮影した写真と同じ状況下でノイズだけを撮影しているんです。

先程説明したとおり、長秒時ノイズは固定ノイズなので全く同じ状況下での撮影ならノイズの発生する場所は同じです。なので、撮影した画像とノイズだけ撮影した画像を引き算してノイズだけを除去するといった仕組みになっています。

ノイズ低減機能仕組み
ノイズ低減機能は便利ですが、使用してみた感じ完璧にノイズがなくなるわけではないです

最近のカメラは本当に優秀です。僕は約8年前に発売された機種を使用していますが、もしかしたら最近の機種はもっと進化しているかもしれませんね。

ノイズ低減機能のメリット・デメリット

登場人物A

ノイズ低減機能は非常に便利な機能だけど、その効果が完璧かと言われると完璧にノイズを無くしてくれるわけではないんだ。

登場人物B

そうなのね。でもノイズを勝手に処理してくれるのは有り難いわ。

登場人物A

そうだね。でも便利な機能には、やっぱりメリットとデメリットがあるんだよ。次にノイズ低減機能のメリットとデメリットについて解説しようと思うよ。

ここまでの説明で皆さんはどう感じたでしょうか?「え?カメラで勝手にノイズ処理してくれるなら最高じゃん」って思った方もいるかと思います。

もちろんこのノイズ低減機能は最高な機能だし、良く考えられた機能です。

写真の画質を劣化させる代表的な物がノイズですからね。ノイズ問題はカメラが優秀になった現代でもつきまとう問題なのです。

ですが、一見便利そうに感じるノイズ低減機能もメリットとデメリットがあります。ノイズ低減機能を使用するかしないかはメリットとデメリットをしっかりと頭に入れてケースバイケースで使用するのがいいと思います。

とは言うものの、結論から言わしてもらうと僕はノイズ低減機能を使用しません。ここまでノイズ低減機能にフォーカスを当てておいて、結論僕は使わないというね(笑)おそらく多くのカメラマンの方がこの機能を使用しないのではないでしょうか。

もちろんそれには理由があります。その理由は次のメリット・デメリットを読んでもらえば分かると思います。

ノイズ低減機能のメリット

ノイズ処理をカメラ側でやってくれるのである程度ノイズが軽減された画像が出来上がってくる

一番のメリットはノイズ処理をある程度カメラが行ってくれるのでノイズの少ない綺麗な画像が仕上がって出来る事にあります。ノイズってカメラの小さい画面だと非常に見にくいんですよね。撮影環境によっては、全く確認できないくらいです。なので撮って出しだと意外とノイズのりが酷い場合が多々あります。

おそらく多くの人が、撮影した写真を撮って出しする事はないかと思いますが、画質のいい写真を提供する為にはノイズ処理が必須と言っても過言ではありません。

そのノイズ処理をカメラがやってくれるので非常に後処理が楽になります。

ノイズ低減機能のデメリット

とにかく時間がかかる(連続撮影に向かない)

ノイズ低減機能の一番のデメリットは連続撮影に向かない事が上げられます。どういう事かと言うと先程説明した通り、ノイズ低減機能は写真を撮影したあとに全く同じ状況下でノイズだけを撮影します。

そして、長時間露光撮影時に出現する長秒ノイズは、シャッター速度が15秒以上で顕著になるとも説明しました。

って事はですよ?同じ状況下で撮影って事は、普通に撮影した写真が15秒のシャッター速度であれば、ノイズ処理に使用するノイズ画像の撮影にも15秒使う事になります。

はい。ご察しの通り、この場合だと1枚の画像が出来上がるまでに30秒もの時間を要する事になります。

これが星の軌跡を記録した写真を撮影する時に1枚に30秒も使っていたら星の軌跡が繋がるわけがないんです。昔、星の軌跡の一発撮りに挑戦した事があります。確か、15分くらいシャッター開けっ放しで撮影したんですが、撮影したあとに「BUSY」の文字が出た瞬間に絶望を覚えました。

こんな暗がりで電波も入ったり入らなかったりする山でノイズ処理の為に15分待つのかって考えたら急に心寂しくなったんです。原因はもちろんノイズ低減機能をOFFにし忘れたって話なんですけどね。

それ以来、ノイズ低減機能がONになる事はなくなりました(笑)

ノイズ低減機能は使用しなくてもいい理由

OK

はっきり言ってノイズ低減機能は使用しなくてもいいです。

ただし条件があってRAW形式で保存して、写真編集を必ず行う人に関してはRAW現像ソフトでノイズ処理が出来てしまうのでカメラのノイズ低減機能を使用しなくても問題ありません。

現像ソフトのノイズ処理

僕の使用しているLightroomと言う現像ソフトは実に分かりやすく簡単にノイズ処理が可能です。もちろんノイズ処理に限界はありますが、機能自体は優秀なのでカメラ本体のノイズ低減機能よりもこちらを使用する事をおすすめします。

ノイズ除去
ノイズ処理を行う事で画質が良くなります。ただしやり過ぎるとのっぺりした感じになりますね。

ノイズ低減機能まとめ

登場人物A

正直言ってしまえば、ノイズ低減機能は使用しない方がいいと思います。先程も説明しましたが、1枚の画像を作成するのに倍の時間が掛かってしまうのでシャッターチャンスを逃す事にもなるし、星景写真では星の軌跡を捉える事ができなくなります。そして、最大の理由はRAW現像ソフトのノイズ処理が非常に優秀だと言うことですね。

一見して非常に便利に思える「ノイズ低減機能」ですが、機能のONOFFを忘れるだけで撮影シーンによっては支障をきたす場合があります。

同様のノイズ処理を現像ソフトで出来るのなら、僕はカメラのノイズ低減機能は使用する必要はないのかなと思います。ただし、その際は必ずRAW形式で保存しましょうね。

何度も言うようですが、どんなにカメラが進化してもノイズ問題は必ずつきまとう問題だと思います。固定ノイズならまだしもランダムノイズに関してはやはり現像ソフトでの処理がいいと思いますので、ぜひ現像ソフトをPCにインストールしておきましょうね。