高画素機はブレに弱いって言われているけどその理由は知っているかい?
知らないわ。そもそも高画素機がブレに弱いって事すら知らなかったわ。
じゃあ、今日はなぜ高画素機がブレに弱いのかその理由を解説していくね。
最近の一眼カメラは高画素化が進んでおります。一昔前までは、2000万画素クラスが主流だったのに、ここ数年で一気に高画素化の波が押し寄せています。
以前に「高画素機がカメラ初心者に向かない理由」と言う記事を書きましたが、なぜ高画素機がカメラ初心者に向かないのでしょうか?
高画素機カメラが初心者に向かない理由。
上記リンクの記事内でも書きましたが、高画素機が初心者に向かない理由の一つとして高画素機は一般的に普及しているような画素数・・・例えば、2000万〜3000万画素に比べてブレに弱いからなんです。
ここで疑問が生まれますよね?
「なんで高画素機はブレに弱いの?」って疑問。
そこで今日は、なぜ高画素機はブレに弱いと言われるのか?またその原因とは?と題してお送りしたいと思います。
- 高画素機がブレに弱いと言われる理由
- 最近の高画素機事情
- 高画素にする理由
- 高画素機のメリット・デメリット
目次
高画素機がブレに弱いと言われる理由
まず大前提としてイメージセンサーのサイズはほぼ決まっています。この辺は皆さん周知の通りです。
フルサイズセンサーやAPS-Cセンサーやマイクロフォーサーズセンサーなど多種類のセンサーサイズがありますが、カメラの決まり事の1つがセンサーサイズになります。
高画素機も高画素機じゃない機種(本稿では約2000万画素とします)もセンサーサイズは決まっている、つまり同じサイズなんです。ここが大きな肝となります。
では、このフルサイズのセンサー(24mm×36mm)で高画素機(例えば4000万画素)と、2000万画素のカメラとでどんな変化が表れるのでしょうか?下の図をご覧ください。
単純にこうなりますよね。(画像内でも説明していますが、今回は分かりやすくする為、◯で表しています)まずこの「画素」とは何かって話なんですが、画像を構成するピクセルの数の事を言います。単純に高画素機が4000万画素なら、24mm×36mmのセンサーサイズに4000万個の画素(ピクセル)がある事になります。もっと詳しく話すと計算式みたいなものがあるんですが、そんなに重要な事ではないので割愛します。
一方の2000万画素クラスだと、お察しの通り24mm×36mmのセンサーに2000万個のピクセルがある事になります。
ちなみに 画素(ピクセル) なんですがこれが顕著に分かるのがテレビの液晶画面ですね。良く見ると小さい四角がたくさんありますよね?これが目で確認出来る一番身近な画素(ピクセル)です。
では本題に入ります。
高画素機がなぜブレに弱いのか?それは単純に画素数が多いからです。
高画素機がブレに弱い理由は単純に画素数が多いからなんだ。
え?それだけじゃ分からないわ。
これから解説はするけどこの言い方であながち間違っていないんだよ。
「いやいやいや、端折りすぎでしょ」
って思われた方もいますよね。もちろんこれから説明しますが、あながちこの言い方で間違ってないんです。
どういう事かと言うと、写真は光の記録だと言う事はご存知ですよね。一重に「フルサイズセンサー」って言いますが、先程言ったとおり4000万画素の高画素機なら24mm×36mmのセンサーの中に4000万個の画素があります。この1つ1つの画素が光を受光して写真を作り上げる訳です。
決められたサイズの中により多くの画素が入ると1つ1つの画素(ピクセル)が小さくなるので画素1つあたりの大きさが2000万画素のカメラよりも小さくなります。
って事は画素1つあたりの受光量が少なくなってしまうんです。
この辺までくれば勘のいい人は分かるかもしれませんが、光の少ない場所でシャッターを切るとどうなるでしょう?
カメラは適正露出で撮影しようとするのでシャッター速度が長くなりますよね。これと同じ原理が画素の一つ一つで起きます。なので高画素機はブレに比較的弱いとされているのです。
ちなみに1画素の受光量が低下するとノイズの発生やダイナミックレンジの低下を招くので画質の低下につながったりもします。
これが「高画素機がブレに弱い」と言われているメカニズムです。
ほら、 高画素機がブレに弱い原因=画素数が多いから であながち間違ってませんよね。
ただし、これって一昔前までの話しだったりするんです。こんな事言えば、この記事自体が本末転倒みたいになりますが、人類の歴史は生活を豊かにする為に便利さを求めて、不便だと感じる点があれば改善してきました。
高画素機がブレに弱いメカニズムは理解できたかな?
そうね。画素が小さくなるから受光量が少なくなるって言うのは理にかなっているわね。
でしょ?ただし、最近の高画素機は高性能な手ブレ補正が搭載されているから。高画素機がブレに弱いなんて過去の事になりつつあるんだけどね。
最近の高画素機事情
文明の進歩は人の予想を遥かに超えるスピードで進化しています。
カメラに関しても同じ事が言えて、「高画素機の1画素あたりの受光量が少なくなってブレちゃうなら補正しちゃえばいいじゃん」って言ったか言わなかったかは知りませんが、そこで開発されたのが ボディ内手ブレ補正 ですね。
ボディ内手ブレ補正がブレを軽減
レンズ内手ブレ補正に関しては結構昔からあり撮影者側としては、大変ありがたい機能でしたが、レンズ内手ブレ補正は一部方向のブレ補正には非常に有効でしたが全ての方向のブレに有効かと言われると疑問が残りました。
しかし、ボディ内手ブレ補正はあらゆる方向(5軸方向)へのブレ補正に有効なので、光の少ない場所での撮影時にも非常に高画質で描写力の高い写真が撮影可能になりました。
「本当に開発した人すげーよ」って思います。
このボディ内手ブレ補正により「高画素機はブレい弱い」って概念がなくなりました。
つまり、高画素機がブレに弱いというのは過去の話しになったのです。
高画素にする理由
最近の高画素機はボディ内手ブレ補正のおかげで昔ほどブレに弱いって事はなくなったんだ。だけど、一つ疑問に思う事ない?
あるわ。昔に比べてブレに弱くなくなったとは言え、なんでわざわざブレってリスクがあるのに高画素にする必要があったのかしら?
そうなんです。なんでブレるリスクがあるのに高画素にする必要があったのでしょうか?それは僕が考えるに下記の理由があるからではないでしょうか。
- 動画コンテンツの普及によるもの
- トリミング耐性に優れている為
- APS-Cクロップ撮影が可能で機動力向上
これらがあげられるのではないでしょうか。では一つ一つ解説したいと思います。
動画コンテンツの普及
この数年で爆発的に増えているのが動画コンテンツです。
例えば、僕らの身近なところで言えばYou TubeやNetflixなんかは非常に多くの人が楽しんでいるかと思います。
更に最近では配信アプリの普及も急速に進んでおり、動画は非常に身近なものとなりました。
普通に暮らしていた人が、一瞬で世界に発信できる環境が整っているのです。そこで、配信者が拘ったのが「画質」です。
僕個人的にもYou Tubeなどを見ていて画質が綺麗だと非常に見やすいなと感じます。
それは、SEO対策としても有効なのではと思います。
簡単に言えば、「画質が綺麗→ユーザーが見やすいので動画再生が伸びる→チャンネル登録数が増える→SEO的にも○→収益に繋がる」といった感じです。
もちろんコンテンツ内容が一番重要な事は言わずもがなですが、画質が綺麗な事で得られる恩恵が非常に大きいのです。
最近ではモバイルでも4K撮影が気軽に出来るようになりました。それほど現代の生活と動画って言うのは密接な関係にあるわけです。
トリミング耐性に優れている
トリミングとは、撮影した写真の一部分だけを切り取る事を言います。高画素機がトリミング耐性に優れている事は想像に難しくありませんよね。
例えば、一般的な一眼カメラの2400万画素で撮影した写真を半分にトリミングすると単純に1200万画素しか残りません。
ですが、6000万画素もあるSONYのa7RIVのような高画素機であれば、半分にトリミングしても3000万画素以上残ります。
野鳥撮影やお子さんの運動会の写真なんかでも、焦点距離が足らず仕方なく撮影した写真でも、高画素機であれば撮影後に写真編集でトリミングすれば写したい場所だけを高画質で切り取る事が可能になります。それでいて、画素数もしっかりと残るので非常に嬉しいです。
APS-Cクロップ時にも効果抜群
高画素機には機能として APS-Cクロップ撮影 というモードがあります。このAPS-Cクロップは、フルサイズ機でもAPS-C機で撮影する時のように焦点距離を稼げる機能です。
例えば焦点距離500mmのレンズをフルサイズ機に装着して撮影すると、焦点距離はそのままの500mmになりますが、APS-C機に装着して撮影すると焦点距離が1.5倍(キャノンなら1.6倍)になります。つまり焦点距離500mmのレンズをAPS-C機に装着すると焦点距離は、750mm(800mm)になるわけです。
野鳥撮影など、焦点距離の長さが必要な撮影にはAPS-C機に優位性がありますよね。って事は、風景撮影時はフルサイズ機で野鳥撮影時にはAPS-C機・・・2台持たないといけなのかって話になりますが、高画素機であればこのAPS-Cクロップ機能を使用する事が出来るのでカメラボディ1台で済みます。機材が減るのは非常に嬉しい事ですね。
高画素機のメリット・デメリット
高画素機のAPS-Cクロップ機能は非常に使い勝手が良くて便利な機能だよね。このように高画素機には便利な機能がたくさん搭載されているんだ。でも・・・
でも・・・
当然ながらやはりデメリットもいくつか存在するから、メリットやデメリットはしっかりと理解しておく事も重要かなーって思うよ。
冒頭に「高画素機カメラが初心者に向かない理由」という記事リンクを貼り付けていますが、その記事内でも書いたとおり高画素機にも当然メリット・デメリットがあります。そのメリット・デメリットについてもう少し詳しく解説したいと思います。
高画素機のメリット
メリットに関しては先程もお伝えしましたが、以下が挙げられると思います。
- 動画性能の向上
- トリミング耐性
- 圧倒的な解像力
- 大判プリントが可能
動画性能の向上
高画素になると画素数が増えるので高精細な撮影が可能になります。4000万画素クラスになると8K動画での撮影が可能になります。8K動画を撮影するとなると最低でも3200万画素が必要になってくるので、高画素機特有のメリットと呼べるのではないでしょうか。
ただ注意が必要なのは、8Kを撮影する機材があっても出力出来る機材や家電がないと意味の無いものになってしまいます。
トリミング耐性
高画素機はトリミング耐性が高いので、写真編集時の自由度が増します。
2400万画素くらいだと、仮に半分にトリミングすると画素数自体は半分の1200万画素になってしまいますが、4000万画素クラスの機種で撮影した画像を半分にトリミングしたとしても約2000万画素残ります。
2000万画素も残れば、作品としても普通に解像度の高い作品を制作する事が可能です。
ちなみに写真撮影後のトリミング以外でも、撮影時にAPS-Cクロップ機能を使用すれば焦点距離を稼げる事が可能なので望遠レンズを購入しなくてもいいかもしれませんね。
圧倒的な解像力
フルサイズセンサーの大きさは、24mm×36mmになりますがこの大きさの中に画素が2400万個あるセンサーと画素が4000万個あるセンサーならどちらが高精細か?って話になります。
答えは言わずもがな、4000万個の方ですね。なので作品を拡大した時にも非常に高精細でディティールがしっかりと残った作品を制作する事が出来ます。
CAPA CAMERA WEBさんの記事で高画素機で撮影した分かりやすい作例があるのでご覧ください。拡大しても細かい所のディティールがしっかりとしています。
大判のプリントが可能
例えばA4サイズの写真を印刷する時に必要な画素数って何万画素あれば十分かご存知ですか?
答えは、約1200万画素あれば十分だとされています。
って事はですよ4000万画素や6000万画素にもなるとA0サイズの大判の印刷が可能です。しかも、非常にクリアで高精細な印刷が可能になります。
ちなみにA0サイズって聞き慣れないですよね。A0サイズはA4サイズの16枚分、約84cm×118cm のサイズになります。
これくらい大きなサイズの印刷なんて普通に生きていれば、まず自分で印刷する事は無いでしょうね。看板などはこれくらいのサイズ感になるかもしれません。
この辺は解像度というものが関係してきて、2400万画素クラスの機種でも看板などの作成が可能です。ただし、解像度を下げるなど当初の画像より荒くしたりしないとダメなんですけどね。
つまり高画素機のメリットは大判の印刷を高精細に出来るって事になります。
ここまで説明してきましたが、過去に「高画素機がカメラ初心者に向かない理由」って記事を書いてはいますが、高画素機自体は非常に魅力的な機種である事に変わりはありません。
では高画素特有のデメリットも紹介したいと思います。
高画素機のデメリット
- 強きな価格設定
- データサイズが大きい
- 高スペックなPCが必要
- 高性能なレンズが必要
- 高感度撮影に弱い
強気な価格設定
まずデメリットとして挙げられるのが、価格が馬鹿高いって事ですね。趣味で買うにしても高すぎで購入をためらうくらいです。では、どれくらい高いのか見てみましょう。
機種名 | 価格 | 総画素数 |
---|---|---|
SONY a7R IV | ¥380,000 | 6250万画素 |
CANON EOS R5 | ¥470,000 | 4710万画素 |
Nikon Z7 | ¥390,000 | 4689万画素 |
上記は3大カメラキャリアの高画素一眼ミラーレスカメラの初値と総画素数を比較しています。結論、どれも非常に高額ですね。
もちろん、高額なのにはそれなりの理由があるのですが趣味の為に家計を圧迫するのは違うと思うので、余裕のある人が購入するべきカメラかなとも思います。
データサイズが大きい
次に気になるのがこのデータサイズが大きい問題ですね。データサイズが大きいとどうなるかは想像に難しくないと思います。
まず、記録媒体の容量を圧迫します。SDカードならSDカード、HDDやSSDに関しても今までの感覚で撮影や写真の選定をしているとすぐに容量がいっぱいになってしまいます。
対策は容量の大きな記録媒体にする ですね。でもこれってお金が掛かるんですよね。SDカード128Gくらいになると3000円超えてきます。ちなみに256Gだと1万円近いですね。
安価なSDカードもありますが、安価には安価である理由があって転送速度が遅いなどの問題があります。
SDカードにも性能がある。購入する際に必要な知識とは!?
高スペックなPCが必要
そして、大きなデータサイズを扱う為にはそこそこ高スペックのPCが必要になってきます。これは低スペックだと処理速度が非常に遅いので作業時間が掛かってストレスになるって事ですね。
高画素機を使用するなら高精細な4K動画や8K動画を扱うようになるかもしれません。そんな時に処理速度が遅かったら致命的です。
高性能なレンズが必要
これは、写真にどこまで求めるかで高性能レンズが必要か必要じゃないか変わってきますが、高画素機の高い解像感を活かす為には高性能なレンズが必要になります。
写真は何もボディだけで撮影するわけではありますよね?
写真は光の記録なので、その光を一番最初に捉える為のレンズも高性能なものでないと意味がありません。
キャノンならLレンズ。ソニーならGmasterレンズ。高画素機の性能をフルに活かすなら惜しみなく散財しましょう。
高感度撮影に弱い
高感度撮影に弱いと言うと語弊があるかもしれません。正直実際のところは全然弱くありません。ほとんどの高画素機で常用ISO感度は51200になっています。
常用ISO51200まであれば全然暗所部でも綺麗に撮影出来るでしょう。
ただ、2400万画素クラスの機種に比べるとやはり暗所部での性能は弱いですね。これは、画素一つ一つの大きさが小さいからになります。
とは言え、先程も言いましたが常用ISO51200でも十分です。
高画素機がブレに弱い理由まとめ
高画素機がブレに弱いと言うのは、一昔前なら定説通りだったんだけど、時代の流れとともに技術も進歩して非常に撮影者にとって扱いやすい機材になったんだ。
高画素機がブレに弱い理由や、高画素機のメリットやデメリットについてお伝えしてきましたがいかがでしたでしょうか?
過去記事の「高画素機が初心者に向かない理由」の通り、高画素機はある程度の撮影技術やカメラの知識を持っていないと宝の持ち腐れになる可能性があります。
最近の高画素機にはボディ内手ブレ補正が搭載されているので、昔に比べてブレと言った点では改善されました。むしろほぼ気にしなくてもいいレベルだと思います。
僕も一度でいいから高画素機で大判の印刷をしてみたいと思いますが、いつのことになるやら(笑)