RAW現象

写真やカメラをやっているとよく聞くのが RAW現像 って言葉。皆さんはRAW現像について説明できますか?そんなに難しい言葉でもないので、多少のカメラ歴がある人なんかは答えられるかもしれません。

一方で最近カメラを始めた方や、これからカメラを始める方にとってこのRAW現像はきっと馴染みのない言葉なので、聞くとむず痒くなる単語かもしれませんね。

今日はそんな RAW現像について解説していきたいと思います!

この記事を読めばRAW現像の重要性が分かるとともにRAW現像の凄さも理解していただける内容になっているのでぜひ読んでいただけたら嬉しいです。

▼ この記事で分かる事
  • RAWってなに?
  • RAW現像について
  • RAWとJPEGの違いについて
  • RAW形式で保存する事のメリット・デメリット
  • RAW現像に必要な物
  • おすすめのRAW現像ソフト

目次

RAWってなに?

RAWとは?

RAW現像を知る為には、RAWの意味を知らないといけないので解説します。RAWとは「生」とか「未加工」と言う意味で、ここでは全く加工していない画像データの事を言います。

基本的には、世の中の[画像]と呼ばれている物に関してはほぼ全ての物が、[JPEG]と呼ばれている物です。簡単に言うとJPEGは完成された画像です。では、RAWはなんなのかと言うと、RAWは全く加工されていない未完成の素材です。

「全く加工していない画像って撮影して出来た画像って事?」って思う方も多いかもしれませんね。その気持も十分分かります。普通に撮影していれば、撮影した画像は 全く加工されていない物だと思いますもんね。ですがまずここが大きな間違いで、僕ら撮影者がシャッターを押して出来た画像って言うのは、既に加工がされています。「え?どこで?」そんな疑問の声も聞こえてきそうですが、それはカメラの中にある 画像(映像)エンジン という半導体で光の撮影データを加工して画像にしています。図で見た方が分かりやすいかと思うので下の加工の仕組みを図をご覧ください。

撮影段階でカメラ内で行われる加工の仕組み

写真の仕組み

写真が作られる仕組みを簡単に説明すると、[イメージセンサー]で受光した光を3色に変換します。その変換した光の情報を[画像エンジン]で加工して現像したのが俗に言う JPEG撮って出し です。

一方のRAWは、イメージセンサーで3色に変換した光の情報を画像エンジンが受け取る所までは同じですが、画像エンジンでは処理せずにそのまま記録した状態の事を言います。

RAWはデータであってファイルの種類ではない

よく勘違いしてしまいがちなのが、RAW=画像ファイル だと思っている人が多い事。これだとRAWというものが良く分からなくなって理解しずらくなってしまいます。

ざっくり言ってしまえば、RAWはあくまで撮影データであって画像ファイルではありません。一般的な画像ファイルと言えば、JPEGだったりPNGやGIFなどがありますが、これらとRAWは別物と考えた方がいいです。

RAW現像について

RAW現像

RAWの意味については理解していただけたでしょうか?では RAW現像 について説明したいと思います。RAW現像とは、上記のRAWから一枚の画像を作る事をRAW現像と言います。

デジタルカメラの前身であるフィルムカメラでは、撮影したデータをフィルムに記録して、そのフィルムから写真を作成する事を「現像」と言いましたが、デジタルカメラもこれと同じでRAWデータと言う光の記録から写真を作成する必要があります。この事を「RAW現像」と言います。

RAWデータは光の記録を無加工のまま保存しているのでデータ量は普段僕らが見ている「JPEG画像」と比べると非常に大きなものになります。そして、沢山の光の情報を記録しているということはそれだけ現像作業をする時に自由度が高いと言うメリットがあります。

RAW現像はJPEGに変換をする事でもある

RAW現像は光の記録から写真を作成する事だとお伝えしましたが、光の記録から写真を作成した際にはJPEG保存されます。RAW現像はRAWデータをJPEGに変換する目的もあります。

なぜJPEG変換する必要があるの?

このJPEGについてはご存知でしょうか?JPEGは世界共通の写真データ保存の形式が「JPEG」です。ファイルの最後に「.jpg」「.jpeg」と記載されているのがJPEGファイルになります。この表記の違いに意味はありません。同じ意味なので気にする必要もないかと思います。

JPEGの特徴は沢山の色を扱う事が出来る上にデータサイズが小さい事です。それ故、写真と非常に相性がいいのでRAW現像した写真を保存する際にはJPEGに変換されます。

JPEGは世界共通の写真データ保存形式です。そもそもRAWはデータなのでこのままだと画像として見る事は不可能なんです。撮影したRAWデータを画像として見てもらうにはこのJPEGというファイルに変換する必要があります。

RAW現像
RAW現像する一番の理由はこれ

え?でもPCに撮影データとして取り込んでRAWデータを選択すると画像として表示されるけどあれはなんでなの?って質問がありますよね。

あれは一時的に撮影データをプレビューとして表示させているだけであってRAWデータ全てを表示させているわけではありません。

RAWとJPEGの違いについて

RAWやRAW現像を語る上で欠かせないのが、JPEG というファイル形式です。先程からちょこちょことJPEGという言葉を使っているので気になっている方もいたかもしれません。なのでJPEGについての解説と、RAWとJPEGの違いについても少し解説したいと思います。

RAWはデータでJPEGはファイル

RAWについては冒頭で解説している通り、「未加工のデータ」「生のデータ」の事を言います。ざっくり言えばデータなのでファイル形式とは違います。なのでRAWのままだと画像として見れません。一方のJPEGは、RAWデータを現像して生成されたりカメラ内の画像処理エンジンで加工を施し生成された物をJPEGと言う形式で保存した物を言います。つまりJPEGは簡単に言えば何かしらで画像として見れるように加工がされた物ですね。RAWは未加工のデータに対して、JPEGは加工済みのファイルを言います。

RAWとJPEGではデータ量が段違い

RAWとJPEGの違い

RAWとJPEGの一番大きな違いとしてあげられるのが、データ量の違いになります。RAWデータに関しては実に4兆3980億色もの色の情報が記憶されています。一方のJPEGは、約1677万色の色を表現する事が出来ます。この事からもいかにRAWデータが多くの情報を記録出来るかが分かるかと思います。

ただし気をつけてほしいのが、RAWは記憶するだけであって表現する物ではないと言うことですね。つまりRAW現像というのはこの4兆3980億色の色をJPEGの1677万色に落とし込んで表現する事になります。そもそも、人が認識出来る色の数ってだいたい1000万色くらいなので、JPEGの1677万色はRAWデータに比べたら少ないかもしれないですが非常に優秀な階調表現が可能なんですね。

ちなみに14bitとか8bitとかあると思うんですが、この辺の話をしだすと3日くらいかかるので割愛します。簡単に言っちゃえば、bitというのは扱える色の階調を示しています。JPEGの8bitならRGBがそれぞれ256階調です。なのでR(256)×G(256)×B(256)≒1677万色の色パターンの表現が可能になります。ではRAWの14bitはどうかと言うと、14bitになると扱える階調が増えてRGB1つの色に付き16384階調になります。すると・・・R(16384)×G(16384)×B(16384)≒4兆3980億色になるわけですね。ただし先述した通り、人が判断出来る階調は1000万色くらいなので14bitもの階調表現はいらないじゃないですか?なのでこの世にある全てのデジタル機器で閲覧している画像は8bitの1677万色に変換されているのです。14bitを表現できるモニターはこの世に存在しない・・・というよりは存在しても人にはその階調の違いが分からないので必要無いです。

8bit変換

ではまとめてみましょう。

  • RAWはデータで、非常に多くの色情報を記憶している
  • JPEGは画像ファイルで、RAWほどではないが十分な色の階調が表現できる
  • RAWは未加工のデータ。JPEGは加工されて完成されたファイルの事
  • この世の全ての画像は8bitに変換される

RAW形式で保存する事のメリット・デメリット

ここではRAW形式で保存することのメリットとデメリットについてみていきましょう。とは言うもののRAWに関してはメリットしかないように思います。作品撮りをするにも必ずRAW形式で保存する人がほとんどです。それだけRAW保存はカメラマンに支持されています。

RAW保存のメリット

    RAW形式で保存する事の最大のメリットは編集の自由度が高い

RAW形式で保存する事の最大のメリットは、やはり撮影後の編集の自由度が高い事だと思います。このなにがメリットなのかと言うと、皆さんなら撮影後にホワイトバランスなどの色調整が編集で出来ると分かっていれば撮影時に気にしますか?って話なんですよね。

シャッターチャンスってそう何回も訪れるものではないし、訪れたところで本当に一瞬の出来事だったりもします。そんな中でいちいち設定の変更なんかしていたらチャンスを逃してしまいます。設定の変更に関しては、必要最低限にしておきたいところです。

そこでRAW形式で保存していれば、撮影後にホワイトバランスや色味の調整をしても画質の劣化もさほどなく撮影時に理想としていた色表現が可能になります。

RAW現像

つまり、撮影時に必要最低限の設定変更にする事で構図作りや他の設定に集中出来るので「より良い写真を撮影する事に集中できる」という事ですね。

RAW保存のデメリット

    RAWは情報量が多いのでデータサイズが大きい

先述したようにRAWは取り込んだ光の色情報を多く記録しています。なので、必然的にデータサイズが大きくなってしまいます。このデータサイズは高画素機になればなるほど顕著になります。データサイズが大きくなると言う事は、それなりの容量の記録媒体が必要になります。記録媒体は容量が大きくなればなるほど価格も高くなります。

もしかしたらPCのスペックも問われるかもしれませんね。データサイズが大きくなるということは高スペックなPCが必要になります。

ちなみに僕の使用しているカメラの場合は、約2020万画素のRAW形式保存で1画像あたりのサイズは20〜30MBくらいになります。これくらいのデータサイズなら特に問題ないかと思いますが高画素機くらいになると考えなければいけなくなるかもしれませんね。

データサイズの違い

以上が、RAW保存をする事のメリットとデメリットになります。

RAW現像に必要な物

RAW現像

RAW現像をするにはRAW現像が可能な RAW現像ソフト が必要になります。RAW現像ソフトとは、RAWデータを編集してJPEG変換する為のソフトになります。この現像ソフトがないとRAW現像が出来ません。フィルム時代で言う所の 暗室 みたいなものですね。このRAW現像ソフトさえあれば編集出来ます。

おすすめのRAW現像ソフト

Adobe Lightroom

この業界では大手のAdobe社からリリースされているRAW現像ソフトです。Adobe社と言えば有名なのがPhotoshopですが、このLightroomはRAW現像に特化したソフトで多くのユーザーが使用しているソフトです。写真の加工から管理までこれ1つのソフトで行ってくれるのでフォトグラファーたちの強い味方です。

Adobe Lightroom

モバイル版もリリースされているので、PCがなくてもスマホがあればいつでもどこでも画像の編集が可能です。

メリット
  • 業界大手なのでユーザーが多い
  • 操作性が分かりやすく初心者にも扱いやすい
  • 画像編集だけでなく画像の管理能力も優れている
  • PhotoshopなどのAdobe社製品との互換性がいい
  • モバイル版もリリースされているのでスマホさえあればいつでもどこでも編集可能
デメリット
  • 月額制なのでランニングコストが掛かる
  • 合成や文字入れは出来ないので、webデザイナーなどはPhotoshopも必要になる

Luminar

Luminarの最大の特徴は AI(人工知能) の技術を搭載している事ですね。

人口知能を搭載している事で様々な編集は効率良く驚きの速さで出来るようになりました。自動編集では空を合成したかのような全く違う表現に変えたり、太陽光を付け加えたり、顔のポートレート修正なども驚くほどの速さで仕上げる事が可能です。

Luminar

写真編集は苦手な方や慣れない方でも簡単に編集できる約60種類のプリセットがあるのも魅力的ですね。

メリット
  • 操作性が分かりやすいので初心者でも馴染みやすい
  • 買い切りなのでランニングコストが掛からない
  • Lightroomのプラグインとしても使用可能
デメリット
  • タイムラプスが作れない
  • モバイル用のアプリがないのでモバイルだけの環境では編集ができない
  • LightroomやPhotoshopに比べると動作が若干遅い

※Luminar はPCの操作環境によっては動かない場合があるので必ずご自身のPCスペックを確認しましょう。

僕がおすすめするRAW現像ソフトは以上の2点になります。どちらも有料なのがネックですが機能に関しては間違いないので購入する価値はあるのかなと思います。

もし「有料なんて嫌」って方がいるなら、カメラメーカー純正のRAW現像ソフトをお使いください。カメラ購入時に同封されているCDROMが純正のRAW現像になります。こちろん有料ソフトよりも出来る事は限られてしまいますが、十分事足りるハズです。

RAW現像とおすすめのRAW現像ソフトのまとめ

RAW現像は良く料理に例えられる事があります。僕の場合は良く卵料理に例えるんですが、卵(RAW)は調理(現像)する事によって様々な料理に生まれ変わる事が出来ます。それと同じで、1つの撮影データから様々な画像に生まれ変わる事が出来るのがRAW現像です。

RAW現像は写真の可能性を広げてくれるので必ずRAW形式で保存して現像しなおしましょう!